医師主導治験の治験変更届書は、6ヶ月に1度PMDAに提出する必要があります。
しかしながら、どの変更箇所が対象になるのか、整理できていない人は多いです。
今回は医師主導治験において、治験計画変更届書を提出するタイミングとその詳細について、ご紹介します。
提出タイミングを逃さないよう、事前に確認しておきましょう。
治験計画変更届を届け出る5つのタイミング
治験計画変更届のタイミングは、5つあります。
- 治験責任医師を変更する時
- 治験調整医師を追加する時
- 実施医療機関を追加する時
- 治験計画届書の記載事項に変更があった時
- 多施設共同治験で、既に治験が終了した施設を削除する時
特に、治験調整医師/治験責任医師/実施医療機関の追加については、原則、変更前に届け出る必要があります。
理由は、治験の実施に影響を与えるからです。
詳細については、「治験届における、事前届出事項を届出る時期とは」をご覧ください。
治験計画変更届を6ヶ月ごとに届け出る項目
治験の実施に影響を与えない変更事項は、変更後、6ヶ月または1年に一度、まとめて届け出ることが可能です。
変更後6ヶ月
- 治験届出者:職名、氏名の変更
- 届出担当者:氏名、所属、電話、FAX番号の変更、追加及び削除
- 治験機器提供者:社名、法人代表者、住所の変更
- 輸入先国の製造業者:名称のみの変更、輸入先国での販売名の変更等
- 実施医療機関:名称、実施診療科、所在地、代表電話番号の変更
- 治験責任医師:職名、氏名変更
- 治験分担医師:氏名変更、追加、削除
- 治験調整医師(届出代表者を除く。)又は治験調整委員会:構成医師の削除、治験調整医師又は治験調整委員会の構成医師の所属機関、所属、職名、氏名の変更
- 治験機器:予定入手数量、予定被験者数の変更
- 治験の準備及び管理に係る業務を受託する者の変更
- 実施医療機関における治験の実施に係る業務を受託する者の変更
- 治験審査委員会の設置者:名称、住所の変更、追加、削除
治験計画変更届書を届け出る項目とは、初回に届け出た内容に変更が生じた場合のみです。
たとえば、治験実施計画書内に記載されている、選択基準や除外基準の変更においては、治験変更届書内に記載箇所がありません。
そのため、治験計画変更届書の提出は不要です。
変更後1年
- 治験分担医師:氏名変更、追加、削除のみの変更
治験計画変更届書を届け出てから、6ヶ月以内に治験終了届や治験中止届を提出する場合
それまでに発生した変更事項については、治験終了届書又 は治験中止届書中に記載し、届け出ることで問題ありません。
改めて治験計画変更届書を作成する必要はないということです。
治験計画変更届書の日付は提出日を記入
治験計画変更届書の日付は、PMDAに提出する日を記載します。
郵送の場合は、郵送する日を記載します。
初回に提出する、治験計画届書とは日付のつけ方が違うため、注意しましょう。
また、IRB承認日でもありません。
治験計画変更届書の提出が遅れたらPMDAに遅延理由書を提出
治験計画変更届書の提出が遅れたら、速やかに「遅延理由書」を作成して、PMDAに提出しましょう。
遅延理由書は、任意のフォーマットで構いません。
遅延理由書については、「医師主導治験でPMDAに遅延理由書を添付するのはどんなとき?様式は?」の記事に詳しく書いています。
6ヶ月ごとに提出する、治験計画変更届書の失念を防ぐコツ
治験計画変更届書は、6ヶ月、1年単位でまとめて変更しようとすると、変更事項が漏れてしまうことがあります。
そこで、治験変更事項に関する、チェックシートを作成しておきましょう。
変更が生じた時点で、治験計画変更届書の変更事項に該当するか、判断することができます。
また、治験計画変更届書の変更事項に該当した場合は、治験計画変更届書も作成しておきます。
いつでもPMDAに提出できるよう、準備しておくのが、失念を防ぐコツです。
治験に関する参考図書を準備しておくとよりスムーズです。
まとめ
医師主導治験において、治験計画変更届書を提出するタイミングとその詳細について、ご紹介しました。
実務に追われていると、治験計画変更届書を失念する傾向があります。
そのため、あらかじめ、スケージュールに組み込んでおきましょう。
治験届に関する注意事項は、「医師主導治験における、治験届の作成を始める前に読んでおきたいこと」をご覧ください。
医師主導治験と企業治験の違いについて知りたい方は、「「医師主導治験」と「企業治験」の違い 6つのポイントを抑える」の記事に詳しく書いています。
医師主導治験の流れと注意点について知りたい方は、「医師主導治験の流れ・注意点をわかりやすく解説」の記事に詳しく書いています。